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第06回 [2007年11月04日(日)配信]

オズレム

  「みなさん、メルふぁ、ふぁっ…。」

カリーマ

  「オズレム、風邪?」

メルテム

  「くしゃみ出そうなときに声掛けない方がいいよ。」

オズレム

  「ふもっふ。ふぁっ…。」

メルテム

  「ふも…? くしゃみ? いまの。」

チャウラ

  「スルターナにはわたしたちとは違って高貴な血が流れておいでですから…。」

オズレム

  「ふもっふ。失礼しました。トゥルカ・ユニバーサル・オルタネイティヴ、第6回をお届けしますっ。」

カリーマ

  「オズレムぅ、今日はいいから寝てなよ〜。」

オズレム

  「うん、ありがとう。でも一つだけ用事を済まさせて。」

メルテム

  「伝染ったら嫌だから、早く寝なよ。」

オズレム

  「…。でもまあ、よく風邪は人に伝染したら治る、って言うけれど、あちらの方を見ているとそうでもないみたいね。」

コレル

  「…。ゴホッ。…。」

カリーマ

  「あ…、コレルまで。大丈夫?」

コレル

 喉痛いから、話ふらないで。

メルテム

  「やれやれ、もっと重病人がいたのか。え? なに? 筆談って…。 『 寝過ぎて背中が痛いし、嫌な夢を見るから、付き合う 』 ? いいから寝とけ。」

カリーマ

  「あ〜、でも風邪引いてると変な怖い夢、見るよね〜。でもわたしの経験から言うと、ほんとに辛いときは夢を見る余裕もないから、治りかけてるんだよ。」

メルテム

  「で、治りかけに調子に乗って、またこじらせる、と。ま、いいけど。じゃあ、オズレムの方から片付けますか。なあに? 用事って。」

オズレム

  「わたしも寝床に入って眠ろうって頑張ってるんだけど、あることが気になっちゃって眠れないの。」

メルテム

  「ほむ。」

オズレム

  「ヨーロッパ・ユニバーサリスIIの AGCEEP のグランド・キャンペーンで、バッドボーイ戦争に突入することなくヨーロッパを統一できる国があるのかないのか。」

メルテム

  「このハレム、バカばっかりだ…。」

チャウラ

  「え? あ、はい。 『 そもそもその “ ヨーロッパ ” の範囲は? 』 あ、どのくらいなのでしょうか…。」

オズレム

  「EU2 Wiki の Badboy の説明のところに書いてある、地中海と大西洋に囲まれた地域で、オレンブルク、アストラハン、ダゲスタン、クルディスタン、シヴァ、アダナより西と、地中海の島々、ブリテン諸島、アゾレス島、アイスランド、これなら客観的に間違いがない “ ヨーロッパ ” になると思うんだけど。」

チャウラ

  「 『 その範囲で州はいくつ? 』 いくつあるのでしょうか。」

オズレム

  「え〜、ふぁ…、ふもっふ、ふもっふ。」

カリーマ

  「あぁ、わたしが数えるよ。う〜、これは大変そう。ええと、トルコ文化の州が10、アルメニアが1、ギリシアが12、グルジアが2、コーカサスが2、タタールが14、ロシアが16、ルテニアが8、ウゴルが15、スカンディナヴィアが16、バルトが5、ポーランドが6、スラヴが11、アルバニアが2、ルーマニアが3、マジャールが6、スロヴァキアが2、チェコが4、ドイツが33、イタリアが17、マルタが1、スイスが2、フランスが25、カタルーニャが5、バスクが2、カスティーリャが10、ポルトガルが4、ベルベルが2、オランダが5、アングロサクソンが10、ケルトが13、と。だから…。」

メルテム

  「合計264。」

オズレム

  「え? そんなにあるの? じゃあ、ヨーロッパ統一は無理か…。」

メルテム

  「なんで?」

オズレム

  「同じく Badboy の説明のところに、バッドボーイ値の減少率の計算式があるけれど、外交値が最高の11だったとしても、バッドボーイ値を1下げるのに3.64年かかるのね。グランド・キャンペーンは400年だから、この間に109しか下がらない。実際には外交値は平均でこの半分もないだろうけど。最初に中核州が30くらいあるとして、これに1819年時のバッドボーイ値の上限、オスマン帝国だと86だけど、これを足して、バッドボーイ値減少分の109を足すと、225が限界ということになるわけね。」

メルテム

  「そっか。じゃあ、解決だね。オズレム、お休み。」

チャウラ

  「あの…、残りが40州程度なら、1819年12月28日に4つの国を外交併合すれば、バッドボーイ戦争を回避しつつヨーロッパの統一が達せられませんか?」

オズレム

  「あ、そういう手! ちょっとズルい気もするけれど、 “ ヨーロッパ ” の定義を変えるよりはいいわよね。ナポレオンの遠征から言って、オスマン帝国はともかく、ロシアは征服しないとやっぱりヨーロッパ統一じゃないわよね。」

チャウラ

  「あ、はい。 『 実際には160州程度で、100も足りないんじゃ、無理。 』 やっぱり無理かもしれません。」

オズレム

  「う…。じゃ、じゃあさ、チャウラ式アネクセイションを使ってもいいから、バッドボーイ戦争突入なしで一番ヨーロッパの州を獲得できるのはどの国だと思う?」

カリーマ

  「やっぱり中核州が多い大国なんじゃないかな。」

メルテム

  「オスマン帝国は実はヨーロッパに持ってる中核州が一番多いんだけど、キリスト教国を外交併合できないからちょっと無理だよね。外交併合が州獲得の主体になるとすると、やっぱりカトリック国が有利なのかね。オスマン帝国の代わりのビザンツ帝国もいけそうだけど。」

オズレム

  「そう、外交併合が主体になるし、バッドボーイ値の減少のことも考えると、外交値の高い君主が多くて、長く在位する国がいいと思う。だから、フランスとかはいいけど、スペインは危ないかも。とくに、バッドボーイ値の上限が劇的に上昇する1789年以降の君主の外交値が重要ね。」

チャウラ

  「本気でヨーロッパ統一を狙う気なら、スペインやポルトガル、オスマン帝国、ロシアがヨーロッパ外に領土を持つ前に滅ぼさないと、その国の都を得るために莫大なバッドボーイ値が必要になると思うんです。だから、15世紀中にこれらの国を滅ぼせるように、海軍を持ってる国でないとダメだと思います。」

オズレム

  「通る国々の通行許可をもらって陸路で行ってもいいんだろうけど、15世紀じゃ国が分裂しててお金かかりすぎちゃうからね、確かに。まあ、海軍で行くにしても通行許可は要るけど。それにしても、いやぁ…、すごいわねぇ。順番から言えば、スペインとポルトガル、オスマン帝国、ロシアの順に滅ぼすようだけど、例えばスペインでプレイしてロシアがカザンを滅ぼす前にロシアを滅ぼすことは可能だろうけれど、ロシアでプレイして港もないのにスペインを滅ぼすのはちょっと難しい、ってことよね。う〜ん、これは…」

チャウラ

  「 『 試すな。本編も終わってない。他人に聞け。 』 ここはリーダーのみなさんにおうかがいになってみては。」

オズレム

  「本編が終わってない、って…、もう何ヶ月ゲームやってないと思ってるの?」

チャウラ

  「 『 スルターナのところで何ヶ月止まってると思ってるの? 』 思ってるんですか?」

メルテム

  「チャウラ、コレルはオズレムのことはスルターナとは呼んでないよ。」

チャウラ

  「あれ…?」

オズレム

  「はうっ…。チャウラまで待たせてるんじゃしょうがないわね。じゃあ、仕方ない。アンケートに託そう。 AGCEEP で BBW に突入させずにヨーロッパ内の州をもっとも獲得できるのはどこの国ですか、と。」

カリーマ

  「実際やってみてもらってスクリーンショットとか送ってもらうと楽しいよね。」

オズレム

  「簡単に言うけれど、1国の結果が出るまでに2ヶ月くらいかかるわよ。でも、確かに見てみたいわね。さてと、じゃあ寝床に戻るね。」

カリーマ

  「は〜い、お休みぃ。あとで着替えとか持ってくね。」

メルテム

  「コレルも寝たら? え? まだいんの?」


カリーマ

  「それじゃあ、お便りの紹介、いくね。まず、本編の方で、10月23日付のお便りです。 『 凄く面白い! 』 ありがとう。ほんっとうにありがと〜。」

メルテム

  「このお便りはけっして自演ではありません。」

カリーマ

  「ななななな何言ってるのよっ。なんでわざわざ疑われるようなことを言うの?」

メルテム

  「ダダダダダダイアキュート。」

カリーマ

  「は? とにかくっ、誰よりも投稿してくれた方に失礼だから、謝りなさいっ。」

メルテム

  「う…、はい、ごめんなさい。」

カリーマ

  「はい、わたしも怒っちゃってごめんなさい。でもこのお便り、本当に嬉しかった。励みになりました。」

チャウラ

  「結構叩かれましたからね。」

メルテム

  「気丈に振舞っていても、その実、芯は普通の女の子、と。」

カリーマ

  「女の子でも男の子でも、けなされればヘコむし、誉められれば次も頑張ろう、って気になるよ。」

メルテム

  「まあね。じゃ、次のお便りね。本編の方を片しちゃおうか。10月28日付、 『 価格革命は新大陸からの金銀の大量流入が原因だと、古くはアダム・スミスあたりから言われていますが、ペストで減少していたヨーロッパの人口が回復してゆくのに、食料生産その他の生産が追いつけなくなっていったのが原因じゃないか、という説を聞いたことがあります。イングランドなどでは牧羊とかが農地を潰して大規模になってく時期ですし 』 。」

カリーマ

  「す、すごいねぇ。え? 『 何かコメントしろ 』 ? あ…、すごく勉強してらっしゃいますね。ええと、エフェンディさんが回答してるし、あとは、以上です。お便りありがとうございました。」

メルテム

  「弱い…。ん、何よ。 『 ベンサムで対抗してみて 』 ? 誰それ?」

カリーマ

  「じゃあ、続いて、オルタネイティヴに寄せられたお便りいくね。チャウラ、よかったね、ものすごく反響があったよ。」

メルテム

  「ものすごく反共があったかもしれない。やっぱりここのリーダーさんたちはこういう話の方が好きみたいだね。」

カリーマ

  「アンケートの方は、11月3日現在、 『 いまだ共産主義の理想は実現されていない 』 が5票、 『 共産主義は人間の本性にそぐわず、必ず失敗する 』 が4票、 『 共産主義の思想は福祉国家に継承され、ソ連は一定の役割を果たした 』 が1票、 『 平等への希求が福祉国家の成立に結実したが、ソ連は関係ない 』 が3票という結果になりました。」

チャウラ

  「すごい均衡ですね…。福祉国家を到達点とする人は足して4票ですし、共産革命未だ成らずという人と福祉国家におけるソ連の役割を評価する人は足して6票、これに対して共産主義不要と福祉国家におけるソ連の役割を評価しない人は足して7票ですから。」

メルテム

  「まあ、投票数そのものがけっして多くないわけなんだけど。でもそういう複合で見るならば、共産主義が未だ実現しないにしても、共産主義は人間の本性にそぐわないにしても、俺がたくさん稼いでみんなを食わせてやる、っていう男気のある人は当てに出来るほどいない、っていうのが9票、ということかな。」

カリーマ

  「そういうことではないみたい。ええと、10月21日付のお便りで、 『 共産主義は各人の必要に応じて取る、というシステムに行き着く先なので、必要が増え続けている現実の世界ではまだ実現の目処がない? 『 成長の限界 』 に真に達して問題になる思想かと 』 、だって。」

メルテム

  「 『 成長の限界 』 って? なんだか難しそうだけど。」

カリーマ

  「そんなに難しい話じゃないよ。地球の人類がこのまま増え続けて、工業生産が増え続けることはありえず、いつか限界に達する、ということ。例えば、この部屋は100人は絶対に入れないでしょ。いまの5人から1人ずつ増やしていって、何人目かでもう入れなくなるよね。ただ、そのぎりぎりのところで、もう少し詰めればあと1人入れる、というときに、みんなで詰めて場所を空けてあげる、つまり助け合わなければならない状況が生まれてくるわけ。」

メルテム

  「一番緊急の問題として食糧のことを考えると、誰かを飢え死にさせるか、みんなで少しずつひもじい思いをするか、という選択を迫られるわけだね。う〜、やだやだ。長生きはしたくないね。」

チャウラ

  「 『 そういうことは前工業化時代に何度もあった。そのときは国王や貴族による暴力と搾取の下で不平等の秩序が保たれていた。食べられない貧民は飢え死にし、子供がたくさん間引かれた。現代は人口以上に生産が伸びている歴史的に稀な時期。いずれ限界は必至。そのときに不平等の秩序を再現するわけにはいかない 』 。わたしもそう思います。」

カリーマ

  「平等の秩序を実現するにしても、みんなが満足する平等じゃなくて、みんながちょっと不満な平等になるわけだから、なかなか合意で実現するのは難しそうだね…。そうなると、やっぱり暴力が、って考えると、なんだかソ連っぽいかも。うわ…。」

メルテム

  「なに?」

カリーマ

  「もっと嫌な予想を思いついちゃった。多数の合意の下に、少数から暴力で搾取して、多数の間だけの平等の秩序を確保するの。なんだか、国王や貴族みたいに少数で多数を支配するよりも、多数で少数を支配する方が、嫌な感じだね。」

メルテム

  「国際関係で言えば、帝国主義時代みたいだね。 “ 生存圏 ” だっけ?」

カリーマ

  「余裕があるうちに真面目に考えなきゃいけない問題なんだけど、憂鬱な問題だよね。もう、終わりの始まりは始まってるかもしれないのに。」

メルテム

  「最近、ニュースで 『 地球温暖化の影響 』 って聞いても慣れちゃったね。きっと異常気象とかも続くと慣れるんだろうな、とは思ってたけど。ま、慣れたからって問題が遠のくわけではないんだけど。」

カリーマ

  「続いてのお便りです。10月23日付、 『 万国の労働者よ団結せよ! 』 」

チャウラ

  「プロレタリイ・ヴセフ・ストラン、ソイェディニャイテスっ!」

メルテム

  「我を助けよ、光よ蘇れ?」

チャウラ

  「ぜんぜん違います。」

メルテム

  「カァリン、カカリン、カカリンカ、マヤ。」

カリーマ

  「ふふっ、ロシア民謡って、なんだか頭から離れないよね。」

メルテム

  「じゃあ、次のお便り。11月2日付、 『 社会主義革命への恐怖がなかったら、福祉国家なんてのは実現しない。資本主義の原則たる効用の最大化に反していて、お金ばかりかかるのが福祉と資本主義は考えるだろうし。それを考えると、ソ連の成立と言うのは相当な衝撃だったのでは? 』 。きっと、この人が福祉国家の成立にソ連が一役買ってるに1票入れてくれたんだね。」

カリーマ

  「歴史で見るとその方がすっきりして見えるけど、民間会社とかが社員への福利厚生を導入してるのは長期的に見て利益になると踏んでるからであって、ソ連の脅威のためじゃないかも。」

メルテム

  「でも、お便りくれた方みたいな意見を想定しての設問だったわけでしょ?」

カリーマ

  「うん、まあそうなんだけど。」

チャウラ

  「会社の福利厚生は、会社の社会的貢献を国から義務付けられているという側面がありますし、それを国法で定めざるを得なかったのは、やはり共産主義が拓いた歴史の流れによるものなのではないでしょうか?」

カリーマ

  「う〜ん、普通選挙法なんかの施行によって世界中で国民の政治的権利の平等が一般的になったあと、国民に主権がある民主主義国家で次に生存する権利の平等が希求されるのも自然の流れだと思うんだけど。まあちょこっとソ連の影響があったとしても、福利厚生の法律を制定して受け入れたのは民主主義国家の国民であったわけだし。」

メルテム

  「アメリカはまだ国民皆保険制度なしで頑張ってるけどさ。こういう意地っ張りを見ると、やっぱり福祉制度ってソ連のおかげって思われてることの裏返しかな、って思っちゃうんだけどね。」

カリーマ

  「じゃ、最後のお便りね。11月2日付、 『 (ムスリマと異教徒の交際について問題提起した)人は、年の半分は海外、なお仕事なんで宗教が「軽い」日本的な感覚みちゃうと、ついつい気になっちゃうんですよw まあトルコ人はシャリーアを柔軟に捉える点ではインドネシア、マレーシアと並ぶあたりかと思いますが、それでもドイツのトルコ系の人なんか見てますと「異教徒と駆け落ち」より「異教徒が改宗」の方が多い雰囲気かなー、と 』 。」

メルテム

  「ジャパニーズ・ビジネスマン、頑張ってるね。確かに、日本ってすごい国だよね。土着の言葉も宗教もタダで維持できるんだもの。いいなぁ、島国。」

カリーマ

  「ははぁ、インドネシアやマレーシアって意外と緩めなんだ。勉強不足だったなぁ。文明世界、というとまたいろいろ問題があるけれど、まあその辺境だとアイデンティティーがつねに危機にさらされるから、より純粋であろうとする傾向があるものだと思ってたから。歴史的にはマグレブが比較的原典重視なマーリク派だったりするしね。」

メルテム

  「マーリク派ってトルコで主流のハナフィー派より厳しいの?」

カリーマ

  「硬軟というよりは、ハナフィー派の方が現実に即する、というか。例えば、昔は社会的には男性の権利の方が女性の権利より強かったでしょう? こういう現実に即して、ハナフィー派の方がマーリク派より寡婦の再婚が難しかったりするのよね。」

メルテム

  「なるほどね。誰かが得するってことは誰かが損することだものね。」

カリーマ

  「ドイツのトルコ系移民はじめ、西欧諸国のムスリムについては、さっき言ったようにつねにアイデンティティーの危機にさらされていて、ことさら深夜までバイラームのお祭りをしたりして、現地のキリスト教徒社会と軋轢を増している、というニュースを聞くよね。」

メルテム

  「ゾーリンゲン事件。」

カリーマ

  「うん。ただ、ゾーリンゲン事件は1993年のことでしょ。いま、2007年にはヨーロッパでヨーロッパの文化を身につけた第2世代の人たちが大人になりつつあるのね。この人たちには帰る国はないし、祖国たるヨーロッパの国と自分のルーツを融和させない限りは心の平安はないはず。大変だとは思うけど、多くの人たちが高等教育も受けてることだし、きっと移民を受け入れた新しい社会をつくってくれるはず。」

メルテム

  「アメリカのイタリア系移民や中国系移民も同じ経過をたどってるわけだしね。」

カリーマ

  「そうそう。実際には何にも知らないくせに分かった口を、って怒られちゃうかもしれないけれど、わたしはねハンチントンさんが言うような 『 文明の衝突 』 なんてありえないと思うんだ。だって、現代社会は隔絶した文明社会の集合じゃなくて、情報や流通が一体化したただ一つの文明社会しか存在しないんだもの。そりゃあ、移民のように異質な人がいて、軋轢を起こすこともあるけれど、この問題が起こってない国はないんだから、国内で文化的軋轢が生じるのが当たり前になったんだと思うの。」

メルテム

  「でも過激派原理主義者たちは全ムスリムに聖戦を呼びかけてるけど。」

カリーマ

  「呼びかけなくちゃいけないのは、現実がそうじゃないからでしょ。宗教はあくまでも個人の救済のためのもの。それは、歴史的にはイスラーム世界は宗教と政治が一体化した社会を営んできたけれど、元々ウンマ(イスラーム共同体)の成立も個々人の合意の下に成立したんだから。あ〜、でもわたしがいま言ってるのはわたしの超個人的な意見。すべてのムスリムが、きっとキリスト教徒も、ううん、多分世界中の人が、この新しく出現したグローバル社会の中で、宗教とか国とかをどう捉えなおすか、揺れてるところだと思う。」

メルテム

  「ほむ。」

カリーマ

  「最近のムスリムの動向を描いた本の中で、目を見張ったのが、 “ 白須英子、 『 イスラーム世界の女性たち 』 、文春新書、2003年。 ” という本でね。例えばエジプトの女性で女性の自立を目指す人々が、男性を見返そうと返って善きムスリマとして割礼を自主的に行うエピソードとか。西洋の人権団体がいわゆる “ 蛮行 ” を止めたとしても、それは彼女たちにとって自主自立ではないんだな、って考えさせられた。」

チャウラ

  「白須英子さん…、前にどこかでお聞きしたような。」

カリーマ

  「白須英子さんは、前に勧めた 『 皇女セルマの遺言 』 も訳してるの。」

チャウラ

  「あ、それで。そういえば、第5回のときに 『 アジャデ 』 を読んでみたいって方がいましたけど、 Amazon で検索しても 『 アジャデ 』 、ないですよ…。」

カリーマ

  「え? あ…、本当だ。」

チャウラ

  「オスマン帝国を扱った日本語で読める小説には他にはどんなものがあるんですか?」

カリーマ

  「まずお勧めするのは、 “ オルハン・パムク、和久井路子訳、 『 わたしの名は紅 』 、藤原書店、2004年。 ” まさにいまプレイ中のムラト3世の時代のイスタンブルが舞台で、西洋の写実的な絵画を見てしまった細密画師の葛藤が主題なんだけど、ヘタレ気味の主人公と12歳下の子持ちの女性との恋あり、殺人事件と謎解きあり、どこが舞台でもきっと面白いプロットで、舞台がこの時代のイスタンブルなんて、もう完璧!」

メルテム

  「ちょっと分厚くない?」

カリーマ

  「いい作品っていうのは、読み終えるのが惜しくなる作品のことだよ。次にお勧めするのは、 “ ケニーゼ・ムラト、白須英子訳、 『 皇女セルマの遺言 』 、清流出版、2003年。上下巻。 ” 舞台は第1次世界大戦下のイスタンブル、戦後のベイルート、インドのラクノウ、そして第2次世界大戦下のパリへ。オスマン帝国のプリンセス、セルマの時代に翻弄された一生を描いているんだけど、このセルマがお転婆さんでね、みんな好きになると思う。んー、ちょっとメルテムに似てるかも。」

メルテム

  「あ〜、それは期待を下げるんじゃないかな。」

カリーマ

  「で、この本はセルマの娘、ケニーゼ・ムラトさんがお母さんの記録を集めて執筆した、ということになってるんだけど、このケニーゼさん自身もやっぱり波乱な半生を送っててね、それを “ ケニーゼ・ムラト、井上真希訳、 『 バダルプルの庭 』 、清流出版、2006年。 ” にまとめてるの。作品としては 『 皇女セルマの遺言 』 の方が面白いと思うけど、続編みたいなものだから、まあ読むんじゃないかな。」

チャウラ

  「他には?」

カリーマ

  「んー、ないことはないんだけど、面白くないからあまりお勧めはしないんだけどね。 『 わたしの名は紅 』 はノーベル文学賞作品なんだけど、同じくノーベル文学賞作品で、 “ イヴォ・アンドリッチ、松谷健二訳、 『 ドリナの橋 』 、恒文社出版、1966年。 ” この本は、大宰相ソコルル・メフメト・パシャが故郷に架けた橋、ドリナの橋とそこにあるヴィシェグラードの街の400年を綴った本で、最後は…、見せ場だから言わないほうがいいか。ちょっと訳文が古いというか硬いというか、読みにくかったなぁ。読んだのだいぶ前だから、いまならすらすら読めるかもしれないけど。」

メルテム

  「カリーマが辟易するとは、すごいね。」

カリーマ

  「うーん、もう一度読み直してみようかな。それとね、日本人が著したものでは、 “ 澁澤幸子、 『 寵妃ロクセラーナ 』 、集英社、1998年。 ” 、 “ 夢枕獏、 『 シナン 』 、中央公論社、2004年。上下巻。 ” があるけれど、どっちも背景を調べるのが一生懸命でストーリーを練り忘れちゃった、って感じかなぁ。内容は、タイトル読めば分かるよね。」

メルテム

  「日本人に馴染みがない背景なのは事実だし、解説が多すぎるとストーリーテリングがゆがむし、難しい題材だよね、確かに。」

カリーマ

  「でも、さっき誉めた両書はそれ、出来てるよ。あ、日本人が著したと言えば、オスマン帝国は敵役ながら、 “ 塩野七海、 『 コンスタンティノープルの陥落 』 、 『 ロードス島攻防記 』 、 『 レパントの海戦 』 、新潮文庫、1991年。 ” は面白いよねぇ。まあ、有名な作品だし、内容はタイトル通りだからあえて解説しないけどね。」

チャウラ

  「 『 アジャデ 』 も、 Amazon にリンクできないにしても、図書館で探すときとかのために版元を記しておいてはいかがでしょうか?」

カリーマ

  「そうだね。 “ ピエール・ロティ、工藤庸子訳、 『 アジャデ 』 、新書館、2000年。 ” あれ、結構新しいのにねぇ。あ、それと、ここには研究書は上げなかったんだけど、一つ面白い本があってね、 “ スタンリー・レーン・プール、前嶋信次訳、 『 バルバリア海賊盛衰記 』 、リブロポート、1981年。 ” ていう本なんだけど、この本、一応、1890年が初版の研究書なんだけど、古き良き時代の研究書というべきか、レパントの海戦で気落ちするセリム2世にドラグドがきっと仇は討ってみせる、って励ましたり、チュニス攻略に失敗したカール5世が怒って海に帝冠を投げ捨てたり、どこを取ってもドラマチックなの。」

メルテム

  「ああ、教科書もそうだといいねぇ。」

カリーマ

  「トルコの歴史の教科書は結構面白いと思うけどなぁ。連合国占領前夜のイスタンブルからケマル・パシャをこっそり船で逃すスルタン、 『 こちらのことは後は余に任せよ、そなたにはこの国の未来を託す 』 、なんてね。」

メルテム

  「それって史実なの?」

カリーマ

  「さあ? でもオスマン帝国もケマル・アタチュルクも敬愛しているトルコ国民には史実だったら嬉しい話だよね。大学の図書館に世界の教科書みたいなシリーズがあったら入ってると思うから、読んでみて。」

メルテム

  「ま、一つ言えるのはさ、コレルに歴史の話振っちゃダメなのと同じくらい、カリーマに本の話振っちゃダメってことだね。カリーマさ、普段のキャラクターからすると、本に対してだとだいぶ容赦ないよね。」

カリーマ

  「え〜、そうかなぁ。」


チャウラ

  「今期の AAR の更新は、 『 ヘタリア戦記 』 がすごかったですね。もう終わってしまいましたね。実は、最初はどうなるかと思ってたんですけど、ゾグーさんが素敵でした。」

メルテム

  「チャウラはあの手の人に弱いね。 『 オマーン 』 も、更新は1回だったけどインド戦役を書ききってたね。相変わらずすごい。」

カリーマ

  「すごいと言えば、 『 聖ヨハネ騎士団の序盤戦略手引き 』 、AGCEEP の設定の変更に合わせて書き直した、って言うけれど、まったく書き換えだし、いきなりパリ取っちゃうんだね。こういうのに比べると、うちのプレイって、ものすごく普通なんだなぁ、って思う。」

メルテム

  「まぁ、しょうがないよ、出来ないことに憧れても。」

カリーマ

  「なうぅ…。そう言えば、 『 MOD-三国志 』 っていう MOD が更新に上がってたけど、あれって新しく出来たのかな? 面白そうだねぇ。」

メルテム

  「李傕、劉璋、公孫瓚って、ユニコードでも表示できないのかな?」

チャウラ

  「環境によっては表示できないこともあるから、使わない方が無難らしいです。え? 『 馬家の台頭の背景にはシルクロードの馬や富があったはずで、EU2 ならその辺りが表現できるはず。クシャーナ朝とか 』 。」

カリーマ

  「2世紀の世界が全部再現されてたら面白いとは思うけど、そうなるとローマまで描くようで、大変過ぎるよ、それは。属国として西域諸国があるくらいでもいいんじゃないかな。え? それでいい?」


メルテム

  「あ、いたんだ。まったく、そんなに心配? でもおあいにく、うちらおぼっこ3人でも十分回せましたよ〜。チャウラも普段よりたくさん喋ったし。」

チャウラ

  「おぼっこって何ですか?」

カリーマ

  「あ〜、えぇ?」

メルテム

  「聞いてばかりいないで、たまには自分で考えなさい。カリーマがそうで、コレルはそうじゃない、これがヒント。」

カリーマ

  「何という説明を…。まあ、そうだけどさ、ふんだ。でもさ、こう秋が深まってくると、彼氏欲しいかも、って思えてきたりするよね。人間も昔は動物と同じで恋の季節があったんだろうけど、それはこの時期だったのかな。」

メルテム

  「どうかなぁ。わたしは夏だけどねぇ。ていうか、単に寒くて暖房が欲しいんじゃないの、それ?」

チャウラ

  「猫がいいですよ。」

カリーマ

  「う〜ん、でもペット飼うと婚期遅れるって言うしねぇ。温もり欲しさの勘違いも恋の初動には必要なのかも。」

メルテム

  「さて、せっかく残ってたんだから、最後の挨拶、する?」

コレル

 サオル。

メルテム

  「愛想ないなぁ。」

カリーマ

  「あ、 『 使えるトルコ語会話 』 、忘れてた。わたしたちがいつも言ってる、サオル Sağ ol でいいよね。 サウ sağ は 『 健康 』 、オルマク olmak は動詞で 『 在る 』 。つまり、健康であれ、お元気で、ってことです。また、ありがとう、という意味でも使います。とにかく、日本語の 『 どうも 』 みたいに軽くちょいちょい使える便利な言葉なんで、ぜひ覚えてくださいね。」

メルテム

  「多分、みんな見当は付いてたと思うけどね。」

チャウラ

  「では、改めまして、サオル。中日ドラゴンズ、優勝おめでとうございました。」


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Last-modified: 2008-01-06 (日) 12:48:08 (4159d)